最高裁判所第三小法廷 昭和50年(オ)1039号 判決 1976年2月27日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告人らの上告理由第一点について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論中違憲をいう部分は、右違法のあることを前提とするものであるから、失当である。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断及び事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
同第二点について
民法三八八条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することが必要であつて、抵当権設定後地上に建物を築造した場合には原則として同条の適用がないものと解するのが、相当である。したがつて、土地の抵当権設定当時、その地上に建物が存在しなかつたときは、抵当権者が建物の築造をあらかじめ承認した事実があつたとしても、民法三八八条の適用を認めるべきではなく、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、右判断に所論の違法はない。所論引用の各判例は、いずれも事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕)